日本企業の水支援 日本ポリグル株式会社
日本企業が開発した水の浄化技術の一つにPGα21Caがあります。
日本ポリグル株式会社は納豆菌から水質浄化剤を開発し途上国に支援しています。
PGα21Caという凝集剤は、納豆のねばねば成分であるポリグルタミン酸を主原料とし、カルシウム化合物を添加した水質浄化剤です。水中の汚れや重金属類などの毒物を短時間で凝集させ、「フロック」と呼ばれる微細粒子の集合体に変えることができます。フロックは水に比べて比重が重いのですぐに沈殿し、透明で無毒な水を作ることができます。
このPGα21Caは、ミレニアム開発目標に従って水質を改善するために井戸を掘ったり、浄化装置を設置したところも多いがそれらができるまでの間の繋ぎとしても利用できるというメリットがあります。PGα21Caは、1グラムで10リットルもの水を浄化でき、汚れた池にこの粉を溶かした水を噴霧するだけで、たちまち綺麗にすることができます。短時間で効果が表れ、また生態系への負荷も少ない水質浄化法として注目を集めています。
海外からの注文も多く、現在40か国に出荷しており、2011年度売上高10億円のうち、50%が海外です。海外からの高い評価、注文が多い理由として、日本ポリグル株式会社の小田会長の努力の成果とも言えます。2004年に発生したスマトラ地震で大きな被害を受けた現地に飲み水を作るために、タイ政府から要請がありPGα21Caを無償で提供したました。数千万円するフランス製浄水装置がうまく作動せず困っていた中、30分で大量の飲み水を生み出し現地の人々から大いに感謝されたことをきっかけに海外に目を向け始めたそうです。
小田会長は貧しい人々が、手の届かない価格で販売されているのではないかと現地を自分の目で確認しに行き、途上国の飲料水事情や貧困の負の連鎖を学び、将来的に現地の人々が安全な飲料水を飲むことができ、さらに自立した生活を送れるような支援を始めた。
その例として、バングラデシュの平均月収からPGα21Caを1グラムの価格を設定した。しかし、今までお金を払わずに手に入れていた水にお金を払う感覚を現地の人々が持っていなかったので、現地の女性による実演販売も始めました。彼女たちを「ポリグルレディ」と名付け、PGα21Caを実演販売してもらうようになると、次第に売れるようになり、また女性販売員は月平均5000円近く稼ぎ、大きな収入を得ることができるようになりました。一般的に途上国では今だ社会的に女性の地位が低いところが多いのが現状です。ポリグルレディはこのような女性たちを経済的、精神的な自立にも貢献しています。