ロレアル 人工皮膚開発で動物実験問題に向き合う
化粧品の世界的な大企業L’Oreal。美と健康というイメージが強い業種であるだけに、クリーンエネルギーや廃棄物削減などのCSR活動にも積極的ですが、その中でもいかにもL’Orealらしいのが人工皮膚の開発です。
ロレアルは世界最大規模の化粧品メーカーであり、科学的な研究開発によって生み出される粧品は肌に直接着ける商品だけに、開発段階で厳しい品質検査が行われます。
そのために実施される動物実験は、愛護団体から強い非難を受け、化粧品業界を悩ませる問題となってきました。
こうした自社のビジネス領域を取り巻く課題を「社会的責任」として受け止め、それを解決したのがL’Orealの人口皮膚です。
人や動物を使わずに製品試験をするために、3Dバイオプリンターを使用し、5セント硬貨サイズのペトリ皿に皮膚片を生みだすプリント技術を研究しています。
サンディエゴのパイオプリント企業オルガノヴォと共同開発した組立ラインを使用して、より早く、より簡単に皮膚を製造しようとしており、この製法の導入で、ロレアルはより正確な製品試験を実施することができます。
ロレアルはすでに、フランス・リヨンにある巨大研究施設で特許取得済みの皮膚製造を行っており、ロレアルは製品の成分が人間の皮膚に与える影響を正確に予測するために皮膚サンプルを使用しています。
もし皮膚サンプルの分子構造の反復を高速化できれば、より正確な試験結果が得られ、さらには異なる皮膚表現型での試験も可能になるかもしれません。
そうなれば、日焼け止めやアンチエイジング美容液といった、皮膚のタイプによる効果のばらつきが避けられない製品を改良することもできます。